特にさびしくないけどレズ風俗に行きましたレポー前編ー
某月某日真っ昼間。
大阪の、とあるラブホテル。
307号室のソファの上で、一人の男が頭を抱えながら震えていた。
私である。
「生物」とはなにか。
学問の世界でもこれに対して万人が納得する明確な答えは出ていない。
「俺のバイクは生物である」と言い放った生物学者もいるほどだ。
どのように定義してもたいてい例外が出てくる。自然はそんなに簡単にできていないのだ。
しかし、
しかしである。
概ねの生物学者、ひいては「生物」という言葉を知っている人々ほぼ全員が納得する要素が一つある。
生物は、繁殖する。
生殖を行い、自己と同じ個体を増やし、種を存続する。
さて・・・
私にはどれくらい「生物」が残っているだろうか?
話は一ヶ月ほど前まで遡る。
私は電車で本を読んでいた。
「すべての女性にはレズ風俗が必要なのかもしれない。」(御坊)
「レズ風俗」というものがこの世の中には存在する。
女性が女性の風俗嬢(キャストと呼ぶ)にお金を払ってデートしたり、性的な行為を行ったりできるサービスである。
2年ほど前に出版されたレポ漫画で有名になったので、ご存知のかたも多いだろうか。
私が読んでいた本は上記の漫画で実際に作者、永田カビさんが利用されたお店の代表者が執筆されたものだ。タイトルの通り、レズ風俗に関するあれやこれやを経営者の視点から書いている。
前々からちょくちょく書いている通り、私は女性同士の関係性、いわゆるレズビアンが好きだった。
百合漫画(GL漫画)は電子書籍含めて数百冊あるし、一度レズビアンバーのミックスの日(レズビアンバーで男性も入れる日のこと)に行かせて頂いたこともある。
もし生まれ変わって女の子になれたのなら、ひらひらの可愛い服を着て、バッチリメイクして、可愛い女の子とデートしたい。
そんなことを考えている、シスジェンダー(性自認が体と一致していること)の男性である。
そうして読んでいたその本に気になる事が書いてあった。
男性に「観るだけ」のサービスを
(中略)レズ風俗店やっています、と話すと、多くの男性から「一度でいいから見てみたい!」というリアクションが返ってきます。「料金は倍額出すから」「見るだけでいい、絶対に手は出さない」「だから、一度でいいからナマのレズプレイを見せてくれ!!」そんなにいうなら熱意に応えるのも悪くないと思い、2010年、モノは試しとばかりに姉妹店「レズ鑑賞クラブティアラ」をオープンさせました。
え?
見れるの?
もうずーっと言っているが、私は性嫌悪がある、というかかなり強いノンセクである。
異性愛者ではあるけれど、女性とセックスしたことはないし、したいとも思わない。
だけど百合が好き。
過激な百合漫画も好んで読むし、レズAVも観たことがある。
そんな私が間近でレズビアンのセックスを見たらどうなるか?
興奮するのか?
性的に?
あるいは芸術として観る?
そもそも私は家族以外の女性の裸をみたことがない。
女性器に至っては本物を肉眼で見たことすらない。
今までずっとノンセクだと思ってきた自分が、全裸で行為を行う女性を見たときに、果たして本能は働くのか?
まだ、私に残っている「生物」はどれくらいあるだろうか?
私は、私自身に興味を持った。
思い立ったが吉日、即刻予約・・・と行きたかったがその頃はあまりにも仕事が忙しく、繁忙期が落ち着くまで待つことにした。
その間にホームページなどで情報を集める。
お店は女性向けで女性がキャストとデートや性行為のできる「レズ風俗レズっ娘クラブ」
と鑑賞がしたい人向けの「レズ風俗レズ鑑賞クラブティアラ」
に分かれている。
私が利用したいのはもちろん後者、レズ鑑賞である。
料金は一番安くて60分 3万円。
高いか安いかは人それぞれの感じ方だろうが普通ありえないものを観れると考えれば妥当な値段だろうか。なにより私にとってこの問題はもう金額の問題ではなかった。
たかだか金を払うだけで私が何年も向き合ってきた問題に一つ答えを出せるのだから。
ただ、普通に性風俗で男性が女性と本番を行う相場より高いことにはちょっと笑った。
さて、そんなこんなで地獄の繁忙期を終え、ようやくレズ風俗に行けそうな日が何日かできた。
しかしここでひとつの問題が浮上する。
私は性風俗を利用したことがない。
当たり前だ。私にとって女性と触れたりセックスをしたりするための場所なんて拷問部屋に等しい。
初めてなので勝手がわからない。何をどうすれば良いかもよくわからない。
おまけに普通の風俗でない。レズ風俗である。
携帯電話を前に部屋の中をぐーるぐる。もう電話番号も調べているし、キャストさんのいる時間だってホームページで把握している。あとは電話して、予約をしたいと言うだけだ。
5分ほど歩き回ってから、一度深呼吸。
私はようやく携帯電話を手に持った。手は震えていた。
ここでも2,3度躊躇してからようやっと、画面にある緑の通話ボタンを押す。
プルルルル、プルルガチャ
「はい」
かかった!(←当たり前)
「あ、あのこちらティアラさんの携帯でよろしいでしょうか」
緊張していた割にはすんなり言えた。仕事でよくこのフレーズを使っていたからか。世の中いつ何が役に立つかわからない。
「はい。そうです」
「こちらのレズ鑑賞コースを予約させて頂きたいのですが」
・・・
話はトントン拍子に進んだ。
時間の希望などを伝えたあと、キャストさんに出勤の確認を行うため、次の日の昼以降にもう一度電話をかけてくれと言われた。その日は日曜だったため、次の日、つまり月曜の昼休みに会社の近くでこっそり電話をした。悪いことをしているわけじゃないのになんとなく後ろめたさを感じて、人が少ない場所までわざわざ移動して電話した。
特に、問題なく、予約が、行えてしまった。
決戦は、2週間後の土曜。
続きます。
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