カミングアウトってさ・・・
大事な話があると言って呼び出した家族の前で、俺は一度深呼吸して、言った。
「実は俺、ゲイなんだ・・・」
あれから三年。母や妹と違い、昔気質の父はなかなか認めてくれなかったが、俺が結婚を決めた彼氏を紹介すると一言「好きにしろ」と言ってくれた。この三年、ゲイであることを伝えることで辛い思いをすることもあったけど、結果的には本当の俺を認めてくれる人が今はたくさんいて、充実した生活を送っている・・・
・・・はい。
皆様こんばんは。
本日のお話はカミングアウトについて。
そう、セクシャルマイノリティ皆のお悩み
「周りに言うか!?言わないか!?」
問題です。
この問題はそもそもレズビアン、ゲイ、トランスジェンダーの人のほうが深刻かもしれません。というのもアセクシャル、ノンセクシャルでないノーマルの人でも恋愛やセックスに強い欲求がないという人は多いので、LGTの人よりは理解されやすいのではないかと思うのですね。
とはいってもやっぱりアセクシャル、ノンセクシャルにもカミングアウトするかしないかという問題はつきまといます。特に恋バナを振られたときとか、親に結婚を勧められたときとか、あるいは下ネタを振られたときとか、
「私ノンセクシャル/アセクシャルだからそういうのはちょっと・・・」
と思い切って言ってしまうか、ノンセクシャル/アセクシャルということは伝えずにてきとーな愛想笑いでやり過ごすかは人によりけりです。
ではカミングアウト、すべきでしょうか!?
の、前に
そもそもカミングアウトがそんなとてつもなく大変なイベントなのおかしくない?
というお話をしたいと思います。
私の中で「カミングアウト」って冒頭に書いた話くらい重いイメージなんですよね。
とんでもない話を意を決してする!みたいな。それをするまでにもそれで嫌われないかとか、受け入れてもらえるかとかいろーんなこと考えて、悩んで、さあ、いざ!みたいな。
私はそもそもそれがおかしいと思います。
以前アセクシャルの方とお話した時、「恋愛感情、あるいは性欲の強さや向く方向というのは食べ物の好みのようなもの」と仰っていました。これ、とってもいい表現だと思いました。
食べ物の好みと同じ、というなら冒頭のお話はこうなるわけです。
大事な話があると言って呼び出した家族の前で、俺は一度深呼吸して、言った。
「実は俺、納豆苦手なんだ・・・」
・・・で?
って感じですよね。
納豆好きな人も入れば納豆嫌いな人もいるように、
男性だけど男性が好きな人もいれば、
好きな人はいるけどセックスはしたくない人もいると。
自分が人と少し違うことを伝えるのに、カミングアウトなんて大層な話にするのはおかしいと思います。
もし話をするのであれば、
「◯◯君好みの女性ってどんな人?」
「ああ、俺ゲイなんだよね」
「あ、そうなんだー」
みたいなかるーいノリで話ができるようになるべきだと思うわけです。
ちなみに私が今まで「私ノンセクシャルなんだよね」と話したことがある人は二人です。どちらも居酒屋で恋愛の話を聞かれてから流れでくらいのかるーい感じで言いました。言われた相手はまず「ノンセクシャルって何?」から。そこで説明すると驚いた様子もありましたが「まあそういう人もいるよねー」という反応でした。どちらの人も概ね私の理想に近い形で話を聞いてくれました。
一方基本的には私は自分がノンセクシャルだという話はしません。それは隠してるわけでもなく負い目があるわけでもなく、単純にめんどくさいから。まず恐らくノンセクシャルが何かから説明しないといけません。そこで「えー!セックス無理とか絶対うそやん!」とか言われたら超めんどくさい。「なんでなん?」とか言われたらもうこのブログのURL投げつけて「これ読んでろ」って言ってやりたい。
明らかに労力に見合ってません。そもそもカミングアウトして受け入れてほしいとも思わないし、受け入れられようが受け入れられまいが私の性質は変わりませんし。
なので話の流れとして言ったほうがいいかなと思ったときにしか話しません。まさに
「何か食べられないものとかない?」
「あー納豆とかちょっと苦手」
くらいの話ですね。
最近の世間の風潮として「セクシャルマイノリティの多様性も認めよう!」というところがあり、それに伴ってなんとなく「私はカミングアウトされても受け入れるよ!」というような人が増えている気がします。それはそれで良いんですけど、セクシャルマイノリティが自分の性質の話をするのにカミングアウトなんてカタカナ7文字のおもっくるしい言葉を当てはめるのではなく、世間話のひとつ、食べ物の好き嫌いくらいの話としてできるようになったら良いなと思います。
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