せっくすが気持ち悪くてできない男の話

ノンセクシャルの成人男性が言いたいことをぶちまけるブログです。

アセクシャルの頃の話

みなさまこんばんは。

 

時には、昔の、話を、しよおか~ということで、

 

今日は私の昔の話をしようと思います。

 

昔、それは私がアセクシャルだった頃のお話。

 

nonseku.hatenablog.com

 

以前この記事でも書きましたが私はアセクシャルノンセクシャルという道を辿っています。

 

アセクシャルノンセクシャルの違いについて一応復習しておきますと、

 

アセクシャル=アロマンティックアセクシャル恋愛感情と性的欲求がない(他者に向かない)

ノンセクシャル=ロマンティックアセクシャル恋愛感情はあるが性的欲求がない(他者に向かない)

 

わかりやすくいうとどちらもしたいとは思っていないけど、好きな人がいるかどうか、で切り分けられます。

 

さて、私が明確にアセクシャルだと気づいたのは21歳の終わり頃、でもそれまでは単にアセクシャルという言葉を知らなかっただけで実際にアセクシャルだった、つまり、性的な気持ちが他者に向かなくなったのはおそらく18歳頃でしょうか。

 

ここから好きな人ができる22歳までおよそ4年弱、この間に何を考えていたのか、お話しようと思います。

 

さて、私は高校生の頃まで恋愛のれの字も知らず、正直大して興味もありませんでした。その頃興味があったのは恋愛とか、好意という感情ではなく性行為でした。私にとって恋愛、交際というのは単にその人とセックスができる大義名分を作るというただそれだけの意味しかありませんでした。

まあ、普通の男子高校生だったらこういう人はそれなりにいるでしょう。

 

だからびっくりしたのです。

みんなきちんと「好きな人」がいる/いたということに。

 

大学生になって、そんなウェイ系の集団にいたわけではないですが、それなりに恋愛の話にもなりました。

トランプで負けた人は罰ゲームで過去や今の恋愛話を暴露するとか、今恋人がいるのかとかそんなアホみたいなことをよくしていたのです。

 

上述したように私にはそれまでセックスしたい子はたくさんいても、交際したい、いわゆる好きな子というのはいませんでした。

でもみんな、中学や高校のときに、例えば憧れの先輩がおり、でも当時はヘタレだったから告白もできなかったとか、例えば同級生と付き合ってたけど手をつないだりキスしたりするのに苦心したとか、例えば実は今付き合ってる人がいますとかそんな話がぽんぽんでてきます。

 

衝撃的でした。

そういうことはどこか遠い世界で起こっていることで、自分とその周りにはまだまだ関係ないことだったと思っていたのです。でもみんな現実にそういうことがある。

セックスしたいだけの子ではなく、明確に恋愛感情として好きな子がいる。

 

そのときに感じた感情は羨ましいでした。

 

アセクシャルの人は恋愛自体に無関心な人が多いです。

自分は人を好きにならないけど別にそれで困ることはないとか、

むしろ時間の無駄だとか、

振り回されるのはしんどそうだとか、

そういう人が多いです。(当然恋愛をしている人を否定しているのではなく、あくまで自分はそう思わないということですが)

 

でも私はそんな割り切れるほど強くなかったです。

 

すごく羨ましかった。

なぜなら楽しそうだから。

過去に恋愛した人も今恋愛している人も、少女漫画でドキドキするJKも、勇気を出して告白してたあの男の子も、みーんな楽しそうだった。

もう失恋すら楽しそうでした。だって失恋するということは少なくとも恋愛的に執着できるような人がいたわけですからね。

みんな恋愛の話は恥ずかしそうに話します。ていうかまず隠します。

でも私はそれを隠す意味すらよくわかりませんでした。隠す以前に私には話すことが一つもなかったからです。これがまず苦痛でした。

いわばみんながキラキラしたきれいな宝石持ってるのに私にはないみたいな感情です。

「佐野はどんな宝石持ってるの?」って聞かれても私は黙り込むしかないわけです。

「恋は落ちるもの」って言葉を見るたびにじゃあどこに穴があるんでしょうかー!?って思ってました。

でも悩んでいたわけではありません。そもそも悩むという選択肢はありませんでした。だってそれは自分の意思でどうこうできるものではないからです。やろうと思ってできるものではないし、努力するものではない。好きな人がいてその人に好かれたいならファッションなり態度なりなんとかしようとできますが、そもそも好きな人を作るのに努力できることなんてありません。

 

ついでにここでもう一つ、性嫌悪について

 

これは徐々に強くなっていった感じでした。最初プラスだったものが0にだんだんと近づいていき、やがてそれはマイナスに変わっていきました。

ただこれに関しては不思議だな?人と違うな?と思うことはあっても特に困ることはありませんでした。

私が男性だからというのもありますが、そもそも恋人もいないのにそのような行為を求められることは全くなかったわけです。

むしろ嫌悪が強くなってからは性的なものに軽蔑すら感じていました。道ですれ違った女性に「今の子めっちゃおっぱいおっきいやん!」とかこそっと耳打ちしてくる友人とかもう気色悪い気色悪い。例え胸の大きな女性を見ても、見たいとか触りたいとか思わない自分はそういった人間より上等なんじゃないかと自惚れたりもしました。(まあ、他人を性的に見ていますと「口に出す」人間は今も嫌いですけど・・・)

 

さて、恋愛感情もなければセックスがしたかったわけでもない私ですが、実は彼女は欲しいなぁと思っていました。付き合ってる人たちはみんな楽しそうだったからです。だから私も「そっち側」に行きたいなぁと思っていました。

今でこそ当時好きな人はいなかったと断言できますがそれは好きというのがどういう状態かを体験できたから。当時親しい女性も何人かいらっしゃいましたが、正直な話それが恋愛的な「好き」なのかただの友達としての「好き」なのかもわかりませんでした。みんなが「好きな人」と言っている人に抱いている「好き」という感情は、実は私があの子に抱いている感情と大して変わらないのではないか・・・?

単に私が夢見過ぎなだけでみんなはそこそこに気が合う程度の人のことを「好きな人」と呼んでいるだけではないか・・・?

そんな事も考えましたが、交際というのは私にモテる要素がなかったために(今もないですけど・・・)、私から告白をしないと始まらないし、そのいわば「おそらく恋愛感情ではない好き」「女友達」にわざわざ告白しようとも思いませんでしたから、彼女もいませんでした。まあ、したらしたで振られてたとは思いますけど・・・。

 

こういう経緯があったので、私に明確に「好きな人」ができたときはとてつもなく喜んだのをよく覚えてます。実際今でも日付と状況すら覚えています。単に一人で寝っ転がって漫画読んでたときの話ですが。

徐々に好きに気づくタイプと突然落ちるタイプがいるらしいですが、私の場合は後者でした。

めっちゃ喜びました。では何を喜んだのかというと、「ずっと欲しかったものが手に入ったこと」だと思います。では何故欲しかったのか、「みんなが持ってたから」です。

私はみんなが持ってる楽しそうなものを、この至るところで「人を愛することは素晴らしい」というメッセージをまざまざと見せつけられる世の中で、「自分には必要ないかー」って切り捨てられるほど強いアセクシャルにはなれませんでした。当時感じていたのは無関心ではなく諦めです。

ほしいけど手に入らない。

努力してどうこうなるものでもない。

だから諦める。

 

この記事は、もしかしたら私と同じことを思っているアセクシャルの人がいるんじゃないかなと思って書きました。

私はその人達に「いつか好きな人が見つかるよ」なんて無責任なことは言えません。私はたまたま偶然いただけでその人達にも見つかるかなんてわかりません。

だからといって「恋愛しないのも自由だよ!」なんて言葉をかけることもできません。私だってそんな事は知っていました。でも私は当時恋愛感情が欲しかったのです。

じゃあどうすれば良いのかというと、それはもうどうしようもないと思います。もしかしたら私と同じく運良く手に入るかもしれないからそれを待ちつつ、一旦は諦めてしまう他できることがない。

 

でも私がひとつだけ心配していたのは最近のアセクシャルの界隈では「恋愛しないことも素晴らしい!」というメッセージが強くなりすぎていることです。もちろんそれは正しい意見です。ただもし、アセクシャルだったときの私が、アセクシャルの方々の中で話してもそのメッセージを見せ続けられたらしんどいだろうなって思いました。

たまにはアセクシャルだけど恋愛もしてみてぇー!」みたいな愚痴を出したって良いと思うのです。それは他のアセクシャルの人の前では言いづらいかもしれないけど、そっちのほうがきっと生きやすいと思うのです。

 

繰り返しますが「恋愛しないことも素晴らしい!」というメッセージは正しいです。もしかしたら私みたいなアセクシャルはいないから、愚痴も出てこず、私が見たことないのかもしれません。それならそっちのほうが100倍いいです。

 

ただもし、私みたいなアセクシャルの方が、この記事を読んでたら、恋愛に憧れるのも普通の感情で、それを表明することもまた自由だということを、覚えておいて欲しいと思います。

 

 

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